山の恐怖 熊倉山
山に登った日は、必ずと言っていいほど崖から落ちる夢を見ます。
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6日金曜日 秩父にあります熊倉山に行ってきました。
仕事の休みが取れたわけでもなく、数日前から体調も悪かったため本当は断りたかったのですが、山頂付近に車を停めて簡単に登れるらしいという話を聞いたので、平日にも関わらず行くことにしました。
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仕事を終えて準備を整え 明け方の4時出発
徹夜です。
着いたところには、「熊出没注意」の看板
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熊が怖いからって雲取山を諦めたのに、熊がでるの!?と聞くと
熊倉山って言うぐらいだからねぇなんてのんきなことを言う
しかも、入山許可書を出す。
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は?話が違うでしょ??と、心の中で叫びながらも山に入りました。
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登山口から入って直後は、きれいな沢沿いをすすむ。
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道らしいものはここでも、この先も一切ありません。
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このような道をすすんで登り続けます。
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道の端は崖。
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川が合流する三又
ここまでは、沢伝いにすすみます。
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三又
この山で登っていいのは、ここまで。
この先は危険です。
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今にも落ちそうな岩があちこちに。
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沢を過ぎると苔むした幻想的な世界が広がる
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登山口が標高600m そして、沢を抜けて道なき道を進む
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キレット
尾根沿い
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来た道
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行く道
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さて、標高900mあたりのこの場所から
私は、限界を感じ、諦めて引き返すことを提案しました。
熊倉山は、だいたい1425.5m
残り500mを登る自信は無い
しかし、この先100も登れば、引き返すよりも近い分岐になるからそこまで行こう。
そう言われて、しぶしぶ登ることに
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ロープを伝って大岩をよじ登る
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標高にして200mほど登っても一向に分岐は現れない。
「だめだ、ここで引き返そう」
体力も限界に来ていたせいか、精神的にも余裕をなくし、
つい私も
「900mの時点で、降りておけばよかったんだよ!」
と、声を荒げてしまいました。
普段は、やってしまったものはしょうがない。
という考えなのに、疲れも手伝ってか人のせいにしてしまった。
しかも、
「降りるって決めたんだ。すぐ行こう。」
少し休もうという意見に耳を貸さずに、すぐすたすた降り始めてしまった。
すぐに追いつくと思ったけど、数分先に進んだところで振り返っても誰もいない。
「おーーーーーい」
大きな声を出しても、自分の声が森の中に吸収されてしまう。
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まずい。はぐれた・・・・。
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全身に恐怖が走りました。
この山を一人で下山できるのか??
置いてきた人は大丈夫か?
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どうしよう。どうしよう。
自分はなんとか自力で下山して、携帯電話の電波が届くところまで行こう
そう決めて、とにかく一人で降りることにしました。
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途中道を誤って遭難しかけたり。
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崖から数m滑ったり。
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生きて帰る
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山の恐怖を実感しながら、常に恐怖との戦い
後悔
山なんて来なければよかった。
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そんな時頭に浮かぶのは、何故か家族の顔ではなく、文鳥のハクちゃんとミカゲちゃんの顔でした。
エアコンの効いた部屋で、文鳥と遊んでいればよかった・・。
そんなことを考えながら とにかく進む。
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この橋から川に転落。
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ずぶ濡れになりながら、とにかく前に進みます。
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登山口までたどり着き、携帯の電波が届くところまで行き、
とにかく自分が無事下山できたことをメール。
何回か、電話をしてみても、当然ながら接続できず、
自分が降りた時間から、一時間経っても下山しないようなら救助隊に連絡しようと
とりあえず、バックパックを枕に道路に寝転がり眠ることにしました。
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遠のく意識の向こうで、黙祷を知らせるサイレンが聞こえました
そうか・・今日は原爆の日だったか・・
黙祷。
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しばらくすると息子からメールが
「自転車の鍵失くした。6:50駅まで迎えに来て。」
とっくに夏休みでしたが、高校生模擬裁判関東大会に学校代表で出場するため連日検討会に出席するため、学校に行っていたのです。
「母さんは、山で遭難中。その時間にいけるかわからないので、またあとで連絡する」
そう返信すると
「おーけー」
と返ってきました。
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いつも息子にふざけたメールを送っているので、平日に私が本気で遭難しかけているとは思っていなかったようです。
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うとうとしながらも一時間近い時間が経過
救助隊を呼ぶかどうかの判断に迷っていると、無事下山の連絡が入り、私達は生きて帰れることを喜び合いながら帰宅。
5時間歩き続けました。
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山の恐ろしさを実感しながら、生きて文明に帰れることを嬉しく思い
山に対して驕った思いでいた自分を反省しました。
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山では、クレジットカードも携帯電話も使えない
あるのは、自由と自己責任
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一瞬のきの緩みが、事故を招く
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山について考えさせられるいい経験でした
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